2010年2月21日日曜日
『自分らしいキャリアのつくり方』
高橋俊介『自分らしいキャリアのつくり方』(PHP新書,2009-9-1)を読んだ。エッセー風にかかれているのか読みやすい。あまりにザァーと読み過ぎているかもしれない。44のキーフレーズであらわされていてなるほどと思うことが多い。そのキーフレーズは目次に出ている。示すと以下のとおりである。
1.ワークライフ
(1)仕事ばかりしていると仕事に必要な能力が身につかない
(2)仕事と私生活はバランスではなく統合が必要
(3)人生で必要なことは二つ以上ある
(4)日本の男は自分の求められている役割を誤解している
(5)デメリットは事前に見えやすいが、メリットはあとからわかる
(6)スローキャリアという生き方は、仕事よりも生活重視では実現できない
(7)お金を大切にしてはじめて精神的豊かさが手に入る
(8)嫌いなものリストを減らす努力が楽しいことをふやす
2.能力開発
(9)追い込まれないと開発されない基礎能力もある
(10)魚は対面販売で買え
(11)遊ぶ能力が低いと仕事も楽しめない
(12)自分がされてイヤなことは他人にしてはいけないでは不十分
(13)意思決定を無理に論理的にしようとすると裏目に出ることが多い
(14)他人に教えることができてはじめて習慣したといえる
(15)いま何を知っているかよりも、新しいことを学ぶ能力が大切
3.キャリア形成
(16)新しい環境には適応すれど同化せず
(17)キャリアは目標ではなく習慣でつくられる
(18)キャリアの舵取りはキャリアフェーズのネーミングで行う
(19)辺境の仕事・辺境の組織がキャリアを強くする
(20)好きなことと向いていることは違う
(21)仕事選びや会社選びと同じくらい場所選びは重要
(22)二番目に得意なことをする
(23)いまの仕事関係なくても、テーマを追いつづけることでいつかそれが仕事になる
4.ジョブデザイン
(24)仕事には枠をつくるのではなくのりしろをつくる
(25)見えない化する社会だから見える化の努力が求められる
(26)目標を達成することがよいとはかぎらない
(27)結婚はだれとするかより、したあとが重要
(28)自分の仕事をプロフェッショナル化する
(29)知らないからとれるリスクもある
5.ネットワーク形成
(30)情けはあるが義理がない沖縄に学ぶ開放的ネットワーキング
(31)転職するたびに人脈をふやす人と失う人がいる
(32)人にどう思われたいかを意識することがセルフブランディング
(33)部下は上司の人間観の鏡である
(34)予期せぬチャンスは親しくない人からやってくる
(35)信頼という能力は面と向かわないと育まれない
6.組織のなかでの成長
(36)日本一長い朝礼で感情脳を鍛える
(37)教えるほうが教わるほうより偉いわけではない
(38)人を育てる意識より人が育つ環境
(39)部下は上司だけによって育てられるものではない
(40)自分に向いている仕事が何かは自分ではわからない
7.組織の見極め方
(41)就職は仕事選び以上に組織選び
(42)グローバル化の障害は日本人か日本企業か
(43)人を大切にするのではなく、どう大切にするかが重要
(44)人事に哲学があるかではなく、会社や事業に哲学があるかが重要である
気になつたところを抜書きすると
「リーダーに必要なのは多様な経験より、むしろリーダーにふさわしい思考・行動特性のほうであり、それは、試練を乗り越える過程でしか身につかないのである」p35
「社会性を養う機会が以前にくらべて極端に減少している」p51
「環境が変化したときに生き残れるのは、強靭な生物ではなく変化に適応できる種だ..」p77
「事あるごとに工夫してわかりやすくほかの人に伝える...そういう努力があとで自分の仕事をラクにしてくれるのだ」p116
「家族や友人いった太い絆のネットワークあまり役にたたないばかりか、むしろ邪魔をする」p149
「多様な意見をもった人と冷静にディスカッションする訓練を受けていない人がネット上で論争すると、異なる意見を徹底的に排斥したり駆逐したりする」p154
「パンの焼き方 数年あれば 日本料理 5年あれば ただし、一流の料理人は技術だけでななく」p166
などがある。
そして、人物名や組織名のみ索引風に作ってみると(除く、著者が属した組織)
IBM p32 p192
網野善彦 p189
伊波普猷 p138
植田洋子 P81~ p107
エドガー・シャイン p105
MKタクシー p180
エリク・H・エリクソン p73
LG p184
青梅慶友病院 p127~
大塚宣夫 p127
大前研一 p131
沖縄教育出版 p157~
織田信長 p188
金井壽宏 p5
金子篤子 p27 p29
苅谷奨治 p133
カルロス・ゴーン p18
カンテサンス p185
菊乃井 p166
岸田周三 p185~
キャリパージャパン p122
クランボルツ博士 P85~
サウスウエスト航空 p178~
サムスン p184
(株)三技研 p116~
CSKコミュニケーションズ P74~
ジェラート博士 p68~
ジョージ・E・ヴァイラント p73 P87 p139
ジョン・チェンバース p112
鈴木勝彦 p30
3M社 p121
仙石通泰 p116
ダグラス・マクレガー p146~
手嶋龍一 p129
豊臣秀吉 p188
長瀬勝彦 p68
日産自動車 p18
日本交通 p180
日本サッカー協会 p164~
ノースウエスト航空 p179
ハーニミア・イバーラ p57 P83 p97 p149
ピクサー・アニメーション・スタジオ p63
ヒューレット・パッカード p32
ファミリーハウス P81
フォーモストブルーシール社 p132~
ポスコ p184
松尾睦 p36
松本大 P78
マネックス証券 P78
宮田加久子 p154
村田吉弘 p166~ p186
モトローラ p32
リクルート社 p133
リチャード・フロリダ p21 p43 p63 p98 p101
山口一男 p30
ユナイテッド航空 p179
ユング p16
となる。なかなか興味深い。何気なく書かれているようでも、先学の研究がふまえられている。また、ケースがなかなかユニークである。沖縄教育出版、三技研など知らなかった。
(注)沖縄に関する話題が多かったので一昨年沖縄に行ったときの写真を載せた。
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