2010年8月7日土曜日

『大激震 堺屋太一かく語りき』



 堺屋太一『大激震 堺屋太一かく語りき』(実業の日本社,2008-12-22)を再読した。講演録を本にしたとのこと。それで歯切れがよい。もともと堺屋太一の本は歯切れがいいが。今まで氏のものは、読んできたので復習のような感じである。それにしてもとらえ方になるほどと思う。コンセプトなんだろう。よく考えて物事をとらえる。いつものように目次を示すことで今後の参考にしよう。


まえがき
 世界、大激震す-そして、新しい発展段階が始まる

第一章 日本の凋落-今こそ「明治維新的改革」を
 「日本の経済はもはや一流ではない」
 あらゆる点で日本は「天国」だった
 一九八〇年代に人類の発想の転換が生じた
 「客観的科学的」から「主観的社会的」へ
 ブランドと宗教と御伽噺
 時代の変化に遅れる日本
 享保の改革と明治維新の違いとは
 小説『平成三十年』-何もしなかつた日本
 明治維新とは何だったのか
 開国に相当するFTAと移民導入
 日本人よ、外国人を怖がるな
 維新の目玉は公務員改革
 道州制こそ二十一世紀の廃藩置県
 金融、財政の発想を転換し、国家財政を立て直す
 教育の根本を考え直すとき
 日本が「二十一世紀のアルゼンチン」にならないために

第二章 日本とは何か-歴史分析から日本のあるべき姿を探る
 「個性」を締め出す日本の教育に明日はない
 国際的地位低下の本当の原因
 ソフトパワーこそが大事
 外国人には理解できない日本人の宗教観
 生なりの文化-わざとらしさのない状況
 神話は日本人の心の歴史
 自ら新しい文明をつくる
 神と仏を同時に崇める-聖徳太子の天才性
 宗教戦争を理解できない日本人
 世界に類のない「いいとこ取り」の文化
 四〇年で「師の国」を越える日本人
 日本貴人の原型-平安貴族
 縮みの文化-鎌倉から室町
 京都で見るミケランジェロとダ・ヴィンチ
 神を恐れぬ信長の象徴
 天下分け目の天王山で往時を偲ぶ
 今より国際化が進んでいた戦前の日本
 近代工業社会・日本の全貌がかいまみられる関空
 歴史の順に現場を訪ねる嬉しさ

第三章 「団塊の世代」が日本を変える!-過激な世界競争に打ち勝つ大きな存在
 何かを始めるのに遅すぎるということはない
 戦争を知らない最初の世代
 危険を冒さず、「まあまあの幸せ」で満足
 外国の同世代は痛烈な経験を持つ人々
 団塊の世代を見誤った官僚
 その時々の流行をつくった団塊パワー
 画期的な「中の見える店」が大ヒット
 カジュアルウェアは生活文化を変えた
 公営住宅の大増設が財政負担に
 「窓際族」の活力がバブルを生んだ
 「戦後三角形」が日本経済の支柱に
 職縁社会の限界
 日本式経営の象徴-社用族
 淘汰された三種類のレジャー産業
 「定年」とは仕事をやめる時期のことではない
 安価な労働力の大量出現
 多様な高齢者をうまく使うのが勝ち組企業
 高齢者がつくる高齢者用品
 ボランティアは自分が好きでやる
 定年後は「先に存在する母集団」がない
 一〇年やれば、「大学卒業並み」の水準に到達する
 「好老文化」をつくる

第四章 知恵の時代こそ、「個性」が大切-「世界唯一」で地域を興す
 私が『油断!』で書いたことの重要性
 世界を変えた「知価革命」
 なぜ日本は規格大量生産が世界一うまいのか?
 全国の頭脳機能を東京に一極集中させる
 情報発信機能も東京に一極集中させる
 官僚がつくったキー局システム
 文化の多様性を失わせた一極集中
 「地方は手足の機能」が挫折
 このままではアジアの田舎になる日本
 「世界唯一」の発想で知価革命を
 迷惑施設から誘致施設に変わった鉄道
 世界でただ一つのイベントをやる
 ユニークな「二キロ・プール」の発想
 沖縄の人口を減らさない秘策
 観光振興の決め手「フォーパスのコンセプト」
 大事なのは誘客要素をいかにつくり出すか
 1.ヒストリー
 2.フィクション
 3.リズム&テイスト
 4.ガール&ギャンブル
 5.サイト・シーイング
 6.ショッピング
 「明るく楽しい海洋リゾート」沖縄に大変身
 子供のように夢を見て、鬼のような気迫で実現をする

第五章 大きく人類文明が変わる局面に来た-文明の先駆けは芸術にあり
 人類を人類らしくした六つの発明
 美術は時代の精神を映す鏡
 農業革命-土地改良技術の登場
 物財が豊かになると写実が生まれる
 写実美術から「科学する心」へと発展
 物財の多さを誇る古代文明
 古代文明が環境を破壊した
 家族制度が壊れると古代物質文明が滅びる
 物からの関心が遠のくと信仰が広がる
 小型化する文化、失われた写実美術
 中世人の重大事は近代人の笑い話
 石炭から生まれた宋代「亜近代」文明
 宋代超写実の出現
 宋代には分業と規格化が発達
 十三世紀のモンゴルは二十一世紀の米国
 物財が豊かになり、科学が発展した
 力エネルギーが転換した蒸気機関の登場
 産業革命とは「労働力と生産手段の分離」のこと
 大型化、大量化、高速化を目指した二〇世紀
 近代工業社会に疑問を持つようになった人類
 流行遅れは「昨日の新聞」と同じ
 100年前に始まった美術の主観化
 自分の本当の満足を求めるということ
 世間と未来と経済から自由になる

第六章 世界を創った男チンギス・ハンに学ぶ-見えてきた基軸通貨米ドルの行方
 社会主義唯物史観を超えて
 説明できない超巨人-チンギス・ハン
 「推定歴史学」の大進歩
 チンギス・ハンの三つの疑問
 チンギス・ハンはなぜ、世界征服を考えたのか
 二十一世紀に通じるグローバリズム(全球主義者)
 グローバル化と国際化の違いを理解していない日本の官僚
 チンギス・ハンの強さとは何か
 自分の命令だけで動く組織をつくる
 織田信長もチンギス・ハンと同じことをした
 情報力こそがチンギス・ハンの力
 情報の価値とおもしろさを知る
 知識は客観的なほうがよい、倫理は主観的なほうがよい
 長続きの理由は「小さな政府」
 自治と信仰の自由を維持するための大量報復戦略
 安上がりのモンゴル軍
 第二次世界大戦での核兵器使用は大量報復戦略の究極性
 人類初のペーパーマネー(不換紙幣)の発行
 サブプライムローンを思わせるファンドの劣化
 モンゴルが陥ったハイリスクの罠
 海洋通商国家へと変身したモンゴル
 米ドルがいつまで保つかは知恵の問題

最終章 新代「知価社会」の誕生-世界危機脱出の唯一の方法
 経済学における三つの流れ
 近代工業社会は「物財」が優先したい社会
 技術の方向が変わった
 近代文明の頂点「戦後」を支えた三要素
 米国生まれの規格大量生産
 「近代工業社会」を宣言した日本万国博
 近代工業社会の揺らぎは七〇年代から
 予測小説手法はこうしてできた
 地域公害から地球環境へ
 人間の幸せは「満足の大きさ」
 満足の大きさは主観的、社会的、可変的な価値の最大化
 米英の大量生産が衰える
 「ブランド」には三種類ある
 知価ブランドは思い入れから生まれた
 情報産業勃興と宗教の復活
 新しい知価社会の胎動がはじまる
 希薄化する国家
 決定的な変化-労働力と生産手段の融合
 垂直分業から水平分業へ
 「中進国理論」を排す
 意外!グローバル化の結果
 「工程分離」の現実
 「中核百人」が盛衰を決める
 「人生的所得構造」が大きく変化
 「観念通貨」は需給が均衡すれば、価値を保つ
 リスクを伴う金融に耐え得るだけの知恵が必要

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