2010年2月14日日曜日

『愛の年代記』

 塩野七生『愛の年代記』(新潮社,1975-3-30 243頁)を再読した。一つひとつの作品に、何かしら魅かれる。あまりこのあたりの事情がよくわかっていないので、改めて年代と場所などを書き出してみた。今回は塩野七生ワールドに少しは慣れてきたからより読めたのかもしれない。『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』(新潮社,1970-3-10)の地図(P8「15世紀末のイタリアの政治地理、P82「チェーザレの勢力分布図」)を参照しながら位置を確認してみた。

「大公妃ビアンカ・カペッロの回想録」 16世紀 ヴェネツィア、フィレンツェ
「ジュリア・デリ・アルビツィの話」  16世紀 マントヴァ
「エメラルド色の海」         16世紀 サヴォイア
「パリシーナ侯爵夫人の恋」      15世紀 フェラーラ
「ドン・ジュリオの悲劇」       16世紀 フェラーラ
「パンドルフォの冒険」        14世紀 リミニ
「フィリッポ伯の復讐」        14世紀 ローマ
「ヴェネツィアの女」         16世紀 ヴェネツィア
「女法王ジョヴァンナ」        9世紀 ドイツ、ギリシア、ローマ

 先妻の子と関係にあった「パリシーナ侯爵夫人の恋」、夫の部下と関係を持つ「フィリッポ伯の復讐」の若い妻たちの悲劇。プラトニックラブ、それもひと目ぼれなのか「エメラルド色の海」は印象深い。「ヴェネツィアの女」 の倒錯の快感はわかるようなわからないような。

「女法王ジョヴァンナ」はジョヴァンナの学識という自在な頭脳というか、魅力が感じられる。以下、抜書きしてみると、
「むずかしい教理上のことをきかれても、あどけなく、しかしそれでいて、大人たちをふと考えこませるような答え」P196
「書物...ほとんど暗記するほど勉強した。...自分で質問をし、自分で答えるのを楽しみを見出し..こうして、キリスト教の教理のどんな小さな部分も通じはじめていた...学者とは、他人から見れば重要でないような小さなことに、通じている人々のことなのだから」P198
「学者的な素養に加えて、哲学者的傾向も兼ねそなえていたらしい。小さなことを知るだけでは、満足せず、根本的な問題について考えはじめた」P199
「読書の量が増えるにしたがって、ジョヴァンナの心は、プラトンやテオクリトスやソクラテスの饗宴に列している思いに満ちるのだった」P222
「知性と教養をしたって」P223
「神学から哲学、歴史か医学にいたるまで」P231

もっと基礎知識を得て改めて読んでみたい。

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