2011年7月1日金曜日

『松下幸之助に学ぶ経営学』

 加護野忠男『松下幸之助に学ぶ経営学』(日経、2011-2-8)を読んだ。経営学者である加護野さんの説く松下幸之助の世界は、経営においては大いに参考になる。大きい、小さいを問わずに。

 まえかぎでは、日本で最初に経営学部である神戸大学の経営学部出身の新入社員に松下氏が「経営学とはどんな学問か」と聞くエピソードが述べられている。加護野氏は、いまの自分ならば「良いことを上手にする方法をまなぶ学問だ」と答えるとのこと。

 「経営とは、構想をたて、人を動かし、その構想を実現すること」であり「経営学は、その構想の善し悪しを判断する基準を考え、良い経営を実現する適切な方法をみつける学問」とのこと。

 経営を実践するときに、そこには経営をする人の考え方がしっかりしていないとぐらつく。それはひいてはぜんたいをばらばらにして良い結果をうまない。しかし、人はそういうところがあるもので、そのためにあらかじめじっくり考えておく必要があるのかもしれない。ここでも「幸之助さんは、事前に周到な準備をすれば失敗は防ぐことができる」と。(p111)失敗を外部要因にもとめるのではなく自らのうちにという考え方が示されている。

 原理・原則、基本的な考え方がやはり重要だと改めて感じ入る。
 以下の目次を示す。

第一章 企業の存在意義とは何か 企業目的論
1.利益追求は企業の目的ではない
2.使命を追求することの効用
3.やはり大切な利益

第二章 ものをつくる前に人をつくる
1.凡事徹底と習慣づけ
2.覿面注意-叱って育てる
3.基本が大事-原則にこだわる
4.後継者を選ぶ

第三章 松下流組織論
1.職能別事業部制
2.分社経営

第四章 松下流経営戦略
1.松下流経営戦略発想法
2.松下流戦略の特徴-仕組みで勝つ
3.松下流顧客志向

第五章 他の経営者との対比でみた松下幸之助
1.本田宗一郎と松下幸之助
2.松下幸之助と稲盛和夫

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