2010年9月4日土曜日

『昭和天皇 第四部』


 福田和也『昭和天皇 第四部 二・二六事件』(文藝春秋,2010-8)が出たので早速読んだ。一年に一回くらいのペースなので前の内容は忘れている。

 今回は五・一五事件から二・二六事件のあたりが扱われている。読みやすい。天皇の人柄を出しながら語られる。名君だと思う。何にもとらわれないからこそ示すことのできる識見があるのであろう。

 それにしても、政治家、軍人の俗物たちめ、というところもある。すべてがそうではないが大角海軍大臣なんて、あれはなんだ。二・二六の岡田首相救出(死体搬出という形)を断るあたり反吐がでそうである。真崎の厚顔無恥。広田弘毅の英国のリース・ロスの提案を蹴るところなど、著者も断罪しているが日本を滅ぼした罪は大きい。

 武藤山治のことが述べられている。痛快。改めてこの人物のことを知りたい。

 そんなここで述べられていることは、知的興奮を静かに起こしてくれる。次が楽しみ。

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