2010年9月19日日曜日

やる気のパラドックス



 太田肇『日本ビジネスマン「見せかけの勤勉」の正体 なぜ成果主義は失敗したか』(PHP,2010-6)を読んだ。わが意を得たりだが、今必ずしもアタマの整理ができていない。やる気を出せということがやる気を阻害することを事例や理屈で説明される。

 ちゃんと評価、それも川下、成果を見ること。方法やプロセスについて口を出さずに本人に任せるマネジメントを提唱している。また、人の管理より仕事の管理で、「片手間」でこそ冷静な判断ができるとしているところはまったくその通りだと思う。管理者やトップが危機感の共有ですべてが解決できるようなことを言っているのをよくみかけるが、それは管理、経営の不在ではなかろうか。

 大事なのは、ビジョンや目標の共有である。やり方はまかせ、感情ですべてが解決できると思わないことである。方向と幅を具体的に示し、それを達成するための動機付けをして任せ、よくみて障害を取り除くなどの支援をすることである。

 太田肇先生のものは、『個人尊重の組織論』(中公新書)以来、読んでいる。学術書の『プロフェッショナルと組織』(同文舘)以外は、たぶん公刊されているものを読んでいると思う。『プロフェッショナルと組織』は近くの図書館に所蔵なく読めないままだ。その間に、太田先生とテレワーク学会でのサロンでお会いする機会もあり著者はその雰囲気を感じながら読めている。

-目次-
まえがき

第1章 「見せかけ」通用しなくなった

第2章 何が意欲を失わせているのか
 足かせ1 くすぶる、残業への不満
 足かせ2 定まらない目標
 足かせ3 過剰な管理
 足かせ4 まだら模様の人間関係
 足かせ5 不公平な評価、処遇

第3章 二つの主義をめぐる皮肉な結果

第4章 「やる気のパラドックス」はなぜ起こる?

第5章 「やらされ感」から「所有感」へ

第6章 部下の管理は「腹八分」で

第7章 上手な片手間とは?-スイーパー・リーダーシップ
 役割1 障害を取り除く
 役割2 仕事ぶりを「川下」で見る
   成果や目標に近いところ
   方法やプロセスは本人任せる
 役割3 部下を支援する

あとがき

参考文献

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