2010年7月3日土曜日

北野弘久さん亡くなる

 ここしばらく新聞を積読のままであった。6/22の新聞の訃報欄に、北野弘久さんが亡くなったことがでていた。6/17に亡くなられた由。79歳。

 北野税法学との出会いは、新入社員の頃である。給与担当をしていて所得税の源泉徴収もやっていた。そんなときに税務調査がはいった。それですくなからず税法関係のものに目が行くようになつたときに手にしたのが北野弘久『(増補)税法の基本原理』(中央経済社)である。学生時代に持っていた『岩波講座 現代法』にも論文が出ていたので名前を覚えていたのかもしれない。

 たぶん、この本に収録されていたかと思うが「租税法律主義の具体的内容の理論」に感銘を受けた。というのは北野さんが学生時代に、憲法研究会で租税法律主義について、天皇主権である大日本帝国憲法と、国民主権である日本国憲法では、租税法律主義の条文はあまりかわらないが内容がどう変わったのかを探求したものである。こういうことを疑問に思うことに少なからざる刺激をうけた。

 北野さんは、憲法の視点から税法を探求、研究されている。これもなるほどと思った。無味乾燥な税法の条文が何かしら輝きをますようなそんなかな時だった。それで北野さんの論文を片っ端から読んだ。面白かった。新財政法学という使途面と徴収面を統合した理論、なかなか魅力的である。

 そんな北野さんと大学法学部の同窓会でお会いすることができた。あこがれの北野さんとお話ができたのはもう何年前だったかな。虎ノ門パストラル。三木義一さんともお話をした。あのときに『税法学原論』の改訂版を遺書のつもりで出す予定とかいっておられた。その『税法学原論』は確かその後の改訂がなされたようだ。

 そんなことを訃報をみながら思い出した。

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