2010年8月1日日曜日

『団塊の世代「黄金の十年」が始まる』


 堺屋太一は、『80年代の読み方』だったかで触発されて読むようになった。先をみるには、大数観察と歴史をみること、だったかな。それに早耳情報にまどわされないなどと。頭のゴミがすっかり取れたような気がした。それで、当時話題の『油断』とか『団塊の世代』を読んだ。なかなかいい。そうなるともっと読みたいと、官僚時代の池口小太郎『日本の地域構造』とか『コンビナート』なども読んだ。『日本万国博の未来戦略』は、改めて目がひらかれた感じがした。1970年に日本万国博にいったのに、こんな視点が全然なかったと残念に思った。それ以来、本当にできるだけ読んできた。コンセプトというか、物事をとらえるのがうまい。ただ、堺屋太一の本には索引のないものが多い。これはどうしてだろう。あれば便利なのだが。

 そんな堺屋太一の考え方が、『団塊の世代「黄金の十年」が始まる』(文藝春秋,2005-10-30)には盛られていて改めて頭の整理となった。また、財政と年金のあたりは具体的に参考になった。

序章
 的中した予測小説『団塊の世代』
 官僚予測に脅えるな!

第一章 団塊の世代は日本を変えた
(1)新時代を拓いた団塊の世代
「団塊お荷物論」は大間違い
 金持ち、知恵持ち、時間持ち
 戦争を知らない世代
 正義の変更を経験しなかった人々
 「明日は今日より豊かだ」という信念
 団塊文化の出発点-日本万国博覧会
 ジャパニーズ・ドリームに向かってまっしぐら
 スター不在の時代
 近代工業社会への強力エンジン
 女性の社会的進出は団塊から
 団塊のゆくところ、常に巨大市場が

(2)官僚の予測はことごとく外れた
 団塊こそ「最良の生徒」だった
 円高も石油ショックも吸収
 「公害防止先進国と「持ち家大国」
 「窓際族に企業が喰われる」という杞憂
 「円高」をはねのけた特殊戦後型システム
 バブル不況は官僚の読み違いから
 誤りの根元-「他の条件にかわりなかりせば」
 高齢化は過疎化に非ず
 オールドタウン化した元ニュータウン
 健全なエイジ・シフトを実現せよ

第二章 団塊が創った「今の日本」
(1)「特殊戦後型日本」とは
 「今の日本」特殊なのだ
 戦後日本のコンセプト
 物財優位の思想を築いた官僚内閣
 コンセプト実現の仕組み-「五五年体制」

(2)完璧な近代工業社会を築いた三本柱
 官僚主導・業界協調体制
 日本式経営は「偉大な文化」
 核家族と職縁社会
 日本式経営を読み解けば
 「会社への投資」を強いた年功賃金
 現場重視の集団的意思決定方式
 決定は遅く、実行は早い
 先行投資型財務体質が生んだ含み資産経営

(3)戦後日本の背後霊
 戦後体制の背後霊-規格化の精神
 没個性辛抱教育
 官僚と教祖の対立は権限争議
 真ン丸人間を作る戦後教育
 中央集権から東京集中へ
 頭脳機能は東京に集中
 業界団体本部は東京に置け
 キー局システムで情報発信を集中
 地方は多目的ホールがいっぱい
 職縁社会に浸透する供給者優位の思想
 供給者優位が「好若嫌老」を生む

(4)知価革命いまだ成らず
 タイヤ(体質)とチューブ(気質)の二重層
 首都集中で通信情報社会に立ち遅れ
 ビジネスは通信、楽しみは集人
 団塊よ!通信社会に慣れよ

(5)歴史に学ぶ発想の転換
 ゼロサム社会の到来
 史上最大のベンチャー企業・豊臣家
 成長意欲の効果と危険
 新規事業への焦りと失敗
 「成長は悪、意欲は罪」とした徳川家康

第三章 団塊の「倫理と美学」を解く
(1)団塊の世代は歴史のどこにいるのか
 「世代」と「年代」は違う
 文明の端境期に位置する世代
 日本近代化の世代像
 規格大量生産社会を築いた人々
 近代物質文明の頂点で育つ
 団塊サードの波は起こらず
 団塊ジュニアは「シラケ世代」
 「一つ上」狙った団塊、「一つ下」で満足するジュニア
 団塊は次世代機養育に失敗したのか
 団塊の倫理を拒否するジュニア-二〇〇五年総選挙の結果は

(2)新しい伝統-核家族と職縁社会
 都市型サラリーマン多数の世代
 姑が嫁に負ける時代が始まった
 子孫に残せるのはお金だけ
 「二世」にしたがる親の心理
 高齢者から若者にお金が流れる
 「オレオレ詐欺」の社会経済学
 「社用文化」の確立-個人は質素に、会社は豪華に
 「家庭なき家族」に至った職場人間

(3)団塊の世代が起こした意識革命
 団塊は終身雇用を「文化」にした
 「人生の幸せ」とは何だろう
 団塊が築いた「優しさの美学」
 「戦後的平等」は機会の制限
 安全第一-勇気は無謀、臆病は慎重
 長寿は心配、競争は危険
 団塊は賭博嫌悪症
 「優しい美学」は続くか変わるか

(4)「不安の正体」はわが心の影
 定年不安、年金依存、改革不全
 「団塊と共に去る」のは何か
 終身雇用と勤勉貯蓄も終わるのか
 「夢」を変えよう

第四章 団塊の世代がまた、「時代」を変える
(1)団塊の世代-「定年」の経済学
 「平成の日本病」
 古い権威を守るのは辛い、だが「改革」はもっと怖い
 改革は「人事→仕方→仕組み→文化」と進む
 採算無視こそ事故に繋がる
 世界に広がる知価革命
 世界に広まる工程分業
 日本改革のラストチャンスか
 団塊の「定年」で「自由な労働力」が大量出現する
 高齢者は年金兼業型労働力
 高齢者需要で高齢供給者が栄える

(2)団塊が創る高齢者市場
 子供専用はあるが、高齢者専用はない
 高齢者需要が少ないのは供給者の怠慢
 高齢者は何を求めているか
 「自分が正しい」と思いえる自律的消費者
 六十代の団塊は新しい高齢者史上を創る
 「職縁の使用」から「楽しみの消費」へ

(3)団塊の世代の財政学-財政と年金の未来
 年金制度の根本-今の現役世代が高齢者を養う
 その時々の世論で決まる年金
 近代工業社会を前提として仕組み
 「三十年」で基本の変わる日本
 世界経済は十年ごとに様変わりする
 九〇年代デフレは終わった
 年金を積み立て方式に戻すブッシュ政権
 賦課方式の前提は消え去った

(4)財政と年金の安定のためには
 解決への三つの道①-生産性の向上
 人口は減ってもルネッサンスは興った
 解決への三つの道②-出産増の決め手は早産奨励か
 解決への三つの道③-年齢観革命
 「七十歳まで働くことを選べる社会」
 多様な高齢者には多様な勤労形態を
 ヒューマンウェアが勝負を決める
 江戸の知恵-権、位、禄を分ける
 六十代向けオフィスの開発を
 高齢者を納税者に
 公共の徴収機関は一元化
 移民の効果を理解しよう
 知価社会にふさわしい労働議論を
 医療費総額管理は有効
 医療保険の民営化こそ最良
 競争が安全と効率を生む
 被生活保護者にも「選択の自由」を
 経済構造と行政の質の改革が大切

(5)団塊の世代の家政学
 団塊の世代は金持ち
 倹約すれば基礎年金でも喰える?
 六十歳からの人生テーマを持とう
 「家政改革」三ヵ年計画
 早耳情報と裏話は信じるな
 資産運用は楽しみの一つ
 相続税恐るに足りず
 寄付は老後の誇り
 「八十五歳を超えると安心」の仕掛けを
 六十過ぎれば貯えは減ってよい!

終わりに
 好きなことを見つけて十年打ち込む
 再就職に成功する方法
 満足の尺度を変えよう
 すべては「自分のため」ら
 団塊よ、君たちは新しい!
 人生八十年時代の生き方
 本当の「好き」を見つける方式

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