2011年4月4日月曜日

『イタリア遺聞』



 かねてから塩野七生『イタリア遺聞』(新潮文庫,1994 1982に新潮社から刊行)を読んでいた。やっと読み終わった。メンデルスゾーンの「イタリア」(交響曲第四番)を聞きながら。全部で30の話があるので一つづつ時間を見つけて愉しんでいた。第9話 大使とコーヒーでは、トルコからコーヒーが入ってきた話である。イタリック体のこととか、ハンニバルの管理法とか、何かなるほどと思われるものがちりばめられている。そして、彼女の作品の背景なりある部分なりが語られていて興味深い。特に、ヴェネツィアの情報収集のことがあちこちにでてくるが、梅棹忠夫『知的生産の技術』にでてくるレオナルドの手帳のように、一つひとつ意味がないようでも何でも載せて、それらをあとでつなぎあわせるという知的作業も楽しい。

0 件のコメント:

コメントを投稿