2011年6月23日木曜日

年金受給者の方がなくなられた場合、「未支給年金」が遺族へ

 年金受給者が死亡した場合、年金の支払が後払いであるので未払いの年金が残る。これを本人は死亡しているし、年金は一身専属の権利であるので無くなるのが本来かもしれない。しかし、法は、未払いの年金を遺族に支給することにしている。

「保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己のなで、その未支給の保険給付の支給を請求することができる」(厚年法第37条第1項)(国年法第19条もほぼ同じ文言。保険給付→年金給付)

 この支給される範囲は、民法の相続とは同じではない。「生計同一」という要件がある。

 基礎年金と厚生年金は、この範囲だが、共済年金は、支給する遺族がいないときは相続人に支給するという。(国公共済法第45条)これは恩給法にならったものとされている。

 未支給年金の法的性格や基本的な考え方(根拠)には、諸説あるようだ。こういう特殊な分野(実務では一般的だが年金法のなかで)について、岩村正彦氏の「未支給年金給付についての一考察」(伊藤博義他編『労働保護法の研究』(有斐閣,1994))という論文があるとのこと。いづれ読みたい。

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